当院では一般外科として以下の外科手術を実施しております。
胸部外科:肺葉切除、胸管結紮、動脈管開存症結紮術(ジャクソン法、直接法(循環器専門医招聘))
腹部外科:胃切開、腸切開、胃切除、腸管切除吻合、ビルロート2型(外科専門医招聘)、胆嚢摘出、肝葉切除、肝生検、脾臓摘出、膵臓生検、腎臓摘出、腎臓切開(結石摘出)、膀胱切開(結石摘出)、膀胱部分切除、尿管切開(結石摘出)、膀胱尿管吻合、尿道切開(結石摘出)、前立腺摘出、子宮卵巣摘出術(支給蓄膿症)、門脈シャント結紮術(先天性、セロハンテープバインディング)、会陰ヘルニア整復術、鼠経ヘルニア整復術、腹壁ヘルニア整復術、臍ヘルニア整復術
一般軟部外科:甲状腺切除、唾液腺切除、リンパ節切除・生検、肛門嚢切除、眼球摘出術、包皮形成、陰部形成、皮膚形成術、体表腫瘤切除(良性・悪性)、乳腺腫瘍摘出術、去勢手術、避妊手術
また整形外科に関しては整形外科医と協力して以下の整形外科手術を実施しております。
- 単純骨折(ピンディング、プレート)
- 膝蓋骨内包脱臼整復術
- 肩関節脱臼整復術(整形外科医招聘)
- 大腿骨頭切除(整形外科医招聘)
避妊・去勢手術
不妊・去勢手術の時期
伴侶動物の状況や状態により適正時期が異なります。まずはご相談ください。
早期の避妊・去勢手術メリット・デメリット
メリット |
デメリット |
- 子宮や卵巣などの病気の発生率の低下
- 卵巣や子宮にできる腫瘍(がん)の予防や乳腺腫瘍の発生率の抑制
- 子宮に膿がたまり、死にも至ることのある子宮蓄膿症の予防
- 精巣腫瘍、会陰ヘルニア、前立腺肥大などの予防
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- 術後、肥満になりやすくなる など
(食事と運動のバランスで回避可能)
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当院では侵襲性の高い一般的な外科以外に低侵襲手術を積極的に取り入れています。
麻酔管理に関してより安全性を考慮して行っております。必要がある場合は麻酔専門医を招聘し麻酔管理を行ったうえで処置や手術を行います。
麻酔の手順
当院では以下のような手順で麻酔を行っております。
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STEP1. 術前検査
※ 基礎疾患が考えられる場合などは1週間前に事前に検査を行ってから問題がないことを確認して当日預かります。また、腎不全などの腎臓機能の低下が認められる動物に関しては前日に預かり点滴を十分に行ってから麻酔を行います。
10歳以下の健常な動物で基礎疾患がない場合 |
犬 |
心電図検査、血液検査(CBC、生化学、凝固機能) |
猫 |
心臓検査(レントゲン、心臓超音波検査)、血液検査(CBC、生化学) |
10歳以上の健常な動物で基礎疾患がない場合 |
犬 |
心臓検査(レントゲン、超音波検査、心電図検査)、血液検査(CBC、生化学、凝固機能(必要があればホルモン検査)) |
猫 |
心臓検査(レントゲン、心臓超音波検査)、血液検査(CBC、生化学、ホルモン検査)、腹部画像検査・血圧測定(腎機能等の低下が考えられる場合) |
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STEP2. 点滴を行います
点滴:静脈に留置針を入れて絶水による水分の不足を補うとともに麻酔中の血圧低下を防止するため3,4時間静脈点滴を行います。点滴液に関しては状態に合わせて選択します。心臓が悪い子に対しては術前から強心剤を使用して機能の維持を務めます。
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STEP3. 麻酔開始
注射麻酔薬により意識をなくした状態で挿管します。
挿管に関しては、通常の塩化ビニール製のチューブ以外に状態に合わせて負担のかからないシリコン製スパイラルチューブ、気管支鏡検査時はラリンゲルマスクなどを用います。
挿管後はガス麻酔薬(イソフルランもしくはセボフルラン)での麻酔維持管理になりますが状態によってはTIVA(完全静脈麻酔:静脈から注射麻酔薬を持続的に注入して麻酔を維持します)を行います。
麻酔維持管理
麻酔の維持管理は麻酔器および生体モニターを用いて異常がないか定時的に管理します。当院では麻酔記録装置を用いることで麻酔管理中のデータをすぐに見直せるようにしながら飼い主様にも退院時にご提示できるようにしています。
局所麻酔(硬膜外麻酔・神経節ブロック・傍神経節ブロック等)
全身麻酔薬および鎮痛剤での管理で痛みを抑えることがありますが血圧管理や呼吸管理が難しくなることがあるので当院では神経刺激装置を用いて安全に神経ブロックなどの局所麻酔を用いることで鎮痛管理を行い術後も痛みをなるべくなくすように努力しています。
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STEP4. 手術・検査開始
麻酔が問題ないことを確認してから手術および検査を行います。検査中も痛みや意識状態に合わせて各種の薬剤を使用しながら管理します。
- 手術・検査終了
- 麻酔覚醒:術後等の処置が終了後徐々に覚醒させます。酸素濃度を空気を混ぜながら徐々に落としていき通常大気の酸素濃度でも血中の酸素飽和度が下がらないことおよび自発呼吸ができていることを確認してから抜管(気管チューブを抜く)します。
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STEP5. ICUもしくは一般ゲージでの術後管理
術後管理中も鎮痛剤(麻薬系鎮痛剤、非麻薬系鎮痛剤など)を用いて鎮痛管理を行い高齢の場合は循環管理も強心剤(ドブタミン、ドパミン、アドレナリン等)を用いて退院まで回復に努めます。呼吸状態酸素濃度や二酸化炭素濃度を確認するモニターを備えているので異常があれば早期に処置を行えます。
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STEP6. 退院
一般状態が安定し自宅での生活が問題なければ退院となります。手術後の場合は必要に応じて鎮痛剤や鎮痛消炎剤などを処方し痛みの管理を行ってもらいます。
ご不明な点やご心配なことがございましたら、遠慮なくご相談ください。